水戸中央郵便局から徒歩数十歩。寿司屋の隣にある洋服店「OZ BASE」。レジの近くには、植物やドル札の目をモチーフにしたデザインが描かれたTシャツがハンガーでつるされている。Qualia、30歳、男。彼のアトリエは店のレジ。場所など関係ない。「Fabric Paint」と描く物体さえあれば、たとえ便所の中でも独創的なデザインが生まれる。
高校卒業までは絵の経験は皆無。洋服屋で働き始め、「自分がデザインした服を着たい」と23歳から描き続けている。独学で。Tシャツからスニーカー、自転車・・・描ける物には何にでも描く。車にも描いてもらえる。「好きこそものの上手なれ」。その言葉通り、2010年には世界3大広告祭の一つ「カンヌ国際広告祭」に出展した。DJ KENTAROをも魅了し、「秘密の宮廷ゴールデンタイム」でもライブペイントで観客を楽しませる。同時に自分が楽しむことももちろん忘れない。
そんなQualiaの元を9月某日のぐずついた天気の中、3人の男が訪れた。カメラを持った男、「秘密の宮廷ゴールデンタイム」のフライヤーを持った男、手ぶらの男の計3人。アポの時間通りに到着したのは1人だけ。それでもQualiaの顔からは笑顔が絶えない。笑顔。その言葉は彼のためにあるのかもしれない。
「思い入れの強いやつベスト5は?」。突然の振りにも丁寧に一つ一つ作品を選んでいく。Tシャツを置くために用意した布もオリジナルの作品。キャラメルソースがこぼれたために目立たなくするように染めたというが、色合いもしゃれている。購入したいと思わせる。店の中がいつの間にか芸術展と化した。
他人を魅了する作品を作りあげるが、Qualia自身は他人にこびへつらってデザインを考えているわけではない。「自分が好きなものを描く」。それだけだ。だから、既製のデザインを模造することはできない。飼い犬の絵を描いてと頼まれることもあるが、そんな時彼は決まってこう言う。「いいTシャツのプリント屋がありますよ」
Writer : Everyday People
Photo : sxx
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OZ BASE | |
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住所 | 茨城県水戸市宮町2-11-23 |
TEL | 029-232-8456 |
営業時間 | 11:00〜20:00 |
定休日 | 年中無休 |
その他 | クレジットカード各種取り扱い |