「生きと生けるしもののなかで、人間だけが、わざわざ苦労して、本来の感覚を、はなはだしく萎縮させている。それもただ他人を犠牲にしてやっているだけなのだ。二本脚の動物が、ただ意味のわかることだけしか信じないのに、四本脚の動物は、嗅いだり、見たり、きいたりすることによって、あらゆるものを知り、そして、そうした感覚によるもの以外は一切信じないのだ。そんなことを考えていた。」

 

ウィリアム・フォークナー 著 大久保 康雄 訳『野生の棕櫚』(新潮社)125-126頁より

 

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